◆精算
洗車作業を終え、順平が伝票を持って部屋に入ってきました。
順平 「お待ちどうさま」
裕太 「早かったね」
順平 「珍しく、気合入れかたらね」
裕太 「いつもは気合、入れてないの?」
順平 「平日は気~抜いて、土日は混むから倒れない程度にがんばって・・・
でも、裕太みたいなデカイ車が何台も続くと、ヘロヘロになっちゃうよ。
真夏や年末なんかは新人アルバイトはよく倒れたり、出てこなくなったりするけどね」
裕太 「過酷な職場・・・」
光男 「あの拭きあげの時の長いクロスはすごいですね」
順平 「わかりますか~。さすがですね。
ウチの秘密兵器なんですよ。
バスタオルのように見えますが、細かい糸くずが出にくく、すごく柔らかいので、黒い車でもキズがつきにくいんです。
気に入ってくれるんだったら、(小さい声で)1枚あげます・・・」
光男 「えっ!本当ですか!」
順平 「あとで、乾いているやつ1枚、車の中に入れときますから・・・」
光男 「うっ、うれしい。ありがとうございます」
順平 「いえいえ、私の物ではありませんから」
裕太 「大丈夫かよ?」
順平 「クロスも、良さがわかってくれる人に使ってもらいたいと思ってるはずだよ」
裕太 「そうか~?」
順平 「では、精算をお願いします」
光男と裕太は精算を済ませ、スタンドを出ました。
光男 「さすがに、≪洗車専門店≫だね。勉強になったよ。
メニュー表には、高級なコーティングも載ってたし」
裕太 「いくらくらいのコーティングだった?」
光男 「2万円くらいから、一番高いので8万円くらいまでだった」
裕太 「高い方が、長く持つコーティングなんだろうな」
光男 「そうだろうけど、磨きのレベルも変わるんだと思う」
裕太 「6万円か~」
光男 「世の中には、もっと、もっと高いコースがあるらしいよ。
30万円を超えるコースもあるらしい。」
裕太 「そんなのは、どんなもんなんだろうね?」
光男 「わからない」
裕太 「10年間洗わなくてもピッカピカとか・・・」
光男 「まあ、今度、裕太の車を磨いて、俺の手持ちのコーティング剤でコーティングしてみようよ。」
裕太 「頼むわ」
2人は、次回は裕太の車の磨きとコーティングをする約束をして、別れました。