◆コーティング作業

 

赤城  「それでは、お待たせいたしました。  コーティング作業に入らせていただきます。 

   手早く、ササッと仕上げたいと思います。

   この、湿らせたミニサイズのクロスにこのコーティング剤を数滴たらして・・・塗りのばして・・・乾いたクロスで拭きのばします」

 

裕太  「コーティングしたあとで、すぐ拭いちゃうんですか」

 

赤城  「ええ、すぐ拭いても、コーティング剤は取れていませんから。

   このクロスで、コーティングを塗った部分と、まだ塗っていない部分を拭いてみてください」

 

裕太  「コーティングを塗ったところは、滑りが悪いですね」

 

光男  「どれどれ・・・本当だ」

 

赤城  「塗ったところは滑りが悪いですが、トップコートを塗れば、スベスベになりますから」

 

光男  「このコーティング剤は、ガラス系なんですか?」

 

赤城  「ええ、ガラス系ですね。  最近の主流の。

   高橋さん、コーティングの目的をごぞんじですか?」

 

裕太  「光男から聞きましたよ。  ボディの保護ですね」

 

赤城  「そうです。  ボディの大敵からボディを守るためです。

   また、ボディの光沢を増したりします。

   昔、コーティングのメインだったワックスは、ほとんどが油分ですが、うちでも扱っています。

   上質なものは、ヤシから取れる『カルナバ1号』という乳白色のもので、水はじきの持ちは2週間程度ですが、比較的厚い膜を作ってボディを保護して、光を乱反射して、ツヤが増します。

   ただ、ワックスの被膜自体が汚れを引きやすく、それで水アカになりやすいんです」

 

光男  「僕、『カルナバ1号』持ってます!」

 

赤城  「前回の作業の後に、お渡ししましたっけ。  

   『カルナバ1号』のワックスは、黒のタクシーの運転手さんが好んで使ってくれています。  キズの中に埋まるので、キズが少なくなったように見え、ツヤがでますから。  まさに艶(つや)っぽくなります」

 

光男  「使い方に、コツはありますか?」

 

赤城  「ボディにしっかりしたコーティングが施工されていれば、その上にワックスを塗っても、水アカがこびり付くことは少なく、次に塗る時には、前のワックス分を落としながら塗る感じになります。

   欲張らないで、薄めに塗るのがコツでしょうか。

   厚く塗っても、たれたりするだけですから」

 

光男  「ポリマーっていうのは、どんなものなんですか?」

 

赤城  「難しいことは、化学の勉強をしたわけではないのでわかりませんが、複雑な構造をしているものはみんなポリマーらしいんですね。  プラスチックや紙おむつもポリマーらしいですから。

   コーティングのポリマーは、私は『樹脂系』とイメージしています。  アクリルやシリコーンなどの。

   『樹脂』は炭素を主体とした有機物なので、ワックスほどではないですが、やはり汚れを取り込みます。  それなので、水アカはできます。

   また、コーティングが空気中の酸素と結びついて酸化したり、被膜自体が劣化したりして、持ちは1年前後といったものが多いでしょうか」

 

光男  「そうですか」

 

赤城  「そして、最近の主流のガラス系コーティングですが、これもいろんなタイプがあるので一言では言い切ることはできません。

   うちで使っているものは、ガラス成分が高濃度に入っています。  でも、このボトルの中のすべてがガラス成分じゃないんです。  このように液体ですから。  液体の中に、ガラス成分が混ざっており、ボディに塗った後に液体部分はすぐ蒸発したり、少しずつ時間をかけて蒸発して、1ヶ月くらいすると完全に硬化します」

 

裕太  「コーティング直後はボディにさわれないんですか?」

 

赤城  「いえ、さわることはできますが、少なくとも、次の日くらいまでは、洗車はしない方が良いですね」

 

光男  「ガラス系コーティングは水アカなどの汚れが付きにくいということですが、弱点はないんですか?」

 

赤城  「ガラス系コーティングも万能ではありません。

   弱点は、じゃっかん、ウォータースポットが付きやすいということです。

   窓ガラスは汚れても、サッと拭けば汚れは落ちやすいですよね。  でも、電車やバスなどの大型洗車機で洗った後は自然乾燥だと、窓ガラスにすごい量のウォータースポットが付いていることがあります。

   ガラス系コーティングも大ざっぱに言えば窓ガラスの薄~い被膜をボディにはりつけたようなものですから、ウォータースポットは少し付きやすいんです。

   もちろん、雨が降ったらウォータースポットだらけになるってことではないんですが、ほったらかしではなく、時々メンテナンス剤で初期のウォータースポットを除去した方が良いですね。

   ウォータースポットが目立つようになっても、コーティングをしていれば、コーティングの被膜が犠牲被膜(ぎせいひまく)となり、磨けば簡単に落ちることが多いです」

 

裕太  「やっぱり、コーティングはやっておいたほうが良いんですね」

 

赤城  「ええ、ボディの大敵から守る役目もしますし、ツヤや輝きを増しますし、磨き直せば確実にキレイになります」

 

   赤城は、コーティングの説明をしながら作業を進め、車全体のコーティング作業をして、最後にアルミホイールのコーティングをしました。

 

光男  「ホイールは、同じコーティングを塗るんですか?」

 

赤城  「ええ、うちの、このコーティング剤は、ボディ、ホイール、そしてこのワイパー回りの黒いプラスチック部分など、すべてに使えますので」

 

   4本のアルミホイールのコーティング作業を終え、トップコート作業に移りました。

 

 

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