◆コーティング作業
光男は大量の洗車グッズの中から小さなコーティング容器を取り出しました。
光男 「このコーティングなんだけど・・・」
裕太 「ずいぶん小さい入れ物だな~」
光男 「うん。でも、これは、磨き屋さんから買ったものだけど、ガラス系コーティングで、1年は持つ物だよ」
裕太 「1年!」
光男 「何もしなかったら、そんなに持たないよ。ちゃんとお手入れしなきゃ」
裕太 「お手入れって?」
光男 「メンテナンスだよ。できるだけこまめに洗って、専用のメンテナンス剤でメンテナンスをするんだ」
裕太 「へえ~。メンテナンスをしないと、どうなるの?」
光男 「汚れは付きにくいんだけど、雨ジミが付いたりするね」
裕太 「ふ~ん」
光男 「じゃあ、はじめようか」
裕太 「うん」
光男 「まず、脱脂しよう」
裕太 「脱脂?」
光男 「うん。油分を取るのが脱脂。
水アカ落しで油分は取れたけど、残ったヌルヌル分を完全になくして、コーティングの付きを良くするために、やるんだ」
裕太 「大変そうだな」
光男 「いや、これをクロスにスプレーして、ボディを拭くだけさ。これは、メンテナンスにも使うんだ」
裕太 「へえ~」
光男「じゃあ、この濡らしたクロスにスプレーして、ボディを拭いて・・・」
裕太 「天井も、全部?」
光男 「もちろん!」
裕太は脱脂作業を始めました。
裕太 「はい、終った」
光男 「お疲れさん。じゃあ、次はコーティング」
裕太 「休憩無しで?」
光男 「一気にやってしまおう」
裕太 「う~ん」
光男 「じゃあ、コーティング作業は・・・ まず、このクロスを湿らせて・・・ コーティング剤を数滴たらして・・・ ボディ上に塗りのばして・・・
カラ拭きする」
裕太 「これだけ?」
光男 「うん」
裕太 「これだけで1年持つの~?」
光男 「うん」
裕太 「じゃあ、たっぷり塗るとしよう」
光男 「ちょっと、待った!」
裕太 「えっ?」
光男 「コーティングの使用量を調べとかないと・・・」
裕太 「?」
光男 「このコーティングが50mlで税込5,250円だったから、使った量で計算するのさ」
裕太 「えっ。今日は夕飯じゃないのかよ」
光男 「友達でも、そこんところをウヤムヤにすると、友情にヒビが入るんだぜ」
裕太 「じゃあ、ちょ~~っとだけ使うようにしよう」
光男 「普通車1台に10mlくらい使うのが目安だそうだから、裕太の車はミニバンだから、15ml使うとして・・・」
裕太 「今から、携帯で計算か・・・」
光男 「さあ、塗って、塗って!」
裕太 「はい、はい」
いつもは雑な裕太ですが、自分の車なので、丁寧に作業を始めました。
はじめに天井を終らせてから、ボンネット、横面のコーティングをしました。
裕太 「ふぅ~、終った」
光男 「お疲れさん。じゃあ、容器を見せて」
裕太 「はい、はい」
光男 「おっ、15ml以上使ってる。20mlくらいか・・・。
じゃあ、さっきの水アカ落しが3,800円で、コーティングが5,250円の5分の2で2,100円と・・・合計5,900円になりますっ!」
裕太 「水アカ落しも入ってるのか」
光男 「ああ、余った分は渡すよ」
裕太「 計算高いって言われない?デートでも割り勘するタイプだな。
はいよ、商売人! 6,000円!
豪華な飯の方が良かった気分・・・」
光男 「へい、毎度あり。お釣りは必要で?」
裕太 「あたぼうよ」
友人間のお金のやり取りが、無事、終りました。
裕太 「でも、これで1年持つなら、すごいな」
光男 「ちゃんと洗車しなよ」
裕太 「うん」
2人は、キレイになった裕太の車を眺めました。
光男 「キレイになったね」
裕太 「うん」
光男 「これで、明日のデートもバッチリだ」
裕太 「うん。飯行こうか。割り勘で」
光男 「うん」
輝く2台の車が洗車広場から出て行きました。