◆裕太からの電話
裕太の車をコーティングしてから、しばらくたったある夜、裕太から電話がありました。
裕太 「ああ、光男、夜遅くにごめん」
光男 「いや、まだまだ起きてるよ」
裕太 「実は・・・友達が・・・友達ってほどでもないけど・・・コーティングしたいって言うんだけど・・・」
光男 「裕太の車を見て?」
裕太 「うん。水アカ落しして、コーティングして、すごくキレイになっただろ。それで、どうしてこうなったか、色々聞かれたんだ」
光男 「ふ~ん」
裕太 「それで、光男に教えてもらって、水アカ落ししてコーティングしたって言ったんだけど・・・」
光男 「俺にコーティングしてもらいたいって?」
裕太 「いや・・・それなら話は簡単なんだが・・・」
光男「???」
裕太 「自分の車を磨き屋さんに磨いて、コーティングしてもらいたいって、言ってるんだ」
光男 「えっ?」
裕太 「磨き屋さんに磨いてもらった友達の車が、すんごくキレイだと言ってしまったら・・・」
光男 「でも、磨き屋さんのコーティングは高いよ」
裕太 「値段は関係ないんだ」
光男 「???」
裕太 「ヤツは、俺と違って、お坊ちゃまなんだ。車は免許を取った時の親からプレゼント!ナビ・オーディオは60万円以上だったかな」
光男 「何乗ってんの?」
裕太 「トミタのRスポーツ、黒」
光男 「へえ~」
裕太 「見せびらかすけど、俺にはハンドル触らせないんだよ! 自分じゃ、高速で160キロ出したとか言ってるけど・・・」
光男 「俺の知らない世界の人の話だ・・・。 いいお友達を持って幸せだね」
裕太 「磨き屋さんのコーティングって、いくらぐらいなの?」
光男 「Rスポーツだと、8万円くらいかな?15万円って言って、仲介料取っちゃおうか?」
裕太 「ダメだよ。ヤツはきっと領収書をもらう。親の会社宛の・・・」
光男 「・・・」
裕太 「光男がやった磨き屋さんに、聞いといてくれないかな?」
光男 「うん、わかった。明日電話して、聞いてみる」
裕太 「よろしくな」
用件だけ言って、裕太の電話は切れました。」