◆水アカは落とさないんですか?
光男 「この車は黒で、水アカがあっても目立ちませんが、水アカが付いている車は、水アカ落としをしてからマスキングするんですか?」
赤城 「磨き屋は、基本的に水アカ落としはしません」
裕太 「えっ? 水アカの上からコーティングするんですか?」
赤城 「いえ、コンパウンドで磨けば、水アカは簡単に落ちますから。
水アカはワックスやコーティングが汚れを取り込んで黒くなったものですから、磨けばすぐ落ちます。
今日、あとで塗るコーティング剤は、汚れを取り込まないので、水アカにはほとんどなることがありません」
裕太 「へえ~」
赤城 「水アカを落とすには、物理的に落とす方法と、化学的に落とす方法があります」
裕太 「物理化学は苦手なんだな~」
赤城 「まあまあ。
物理的に落とす方法とは、コンパウンド等の磨き粉で落とすことです。 ポリッシャーでは比較的早く水アカは落とせますが、車全体をスポンジやクロスで落とすのは大変な労力だと思います。
化学的に落とす方法とは、アルカリ性のケミカルで汚れを落とす方法です。
少し専門的になりますが、無機質の汚れは酸性のケミカルで、有機質の汚れはアルカリ性のケミカルで落します。
油は炭素を主体とした有機物なので、水アカ落としはアルカリ性のケミカルで落します。
手についた油などの汚れも、アルカリ性の石鹸で洗いますよね」
光男 「石鹸はアルカリ性ですか・・・」
赤城 「ええ、中には、お肌にやさしい弱酸性なんてものもありますが。
水アカ落とし剤は、石鹸よりずっとアルカリ性が強いものが多いです」
光男 「石鹸よりアルカリが強いもので、すばやく水アカ落としするんですね?」
赤城 「ええ、でも・・・、アルカリ性が強すぎるのは、車の塗装を傷つけ、作業する人の手も傷めるんです」
光男 「えっ? ボディも、人の手もですか?」
赤城 「かなり昔になりますが、強力水アカ落とし剤がはやっていたころ、
水アカを落として
→キツイケミカルなので、ボディがも荒れて
→ボディが荒れるから水アカが付きやすくなり
→また強力水アカ落とし剤を使って水アカを落として
→また水アカが付くやすくなって → → → と繰り返して、しまいには、塗装の最上部の透明なクリア層がボロボロに破壊されてしまい、タオルで拭くだけで地の白い塗装が付くようになってしまうという怖いケミカルがありました。
私の知り合いに、そのケミカルを毎日使っていて、手の油分がなくなり、皮膚が薄くなったようで、熱いお茶が入っている茶碗が今でも持てなくなった人がいます」
光男 「なんだか、怖いですね」
赤城 「現在使われている水アカ落とし剤は、物理的なものと化学的なものを混ぜたタイプがほとんどですが、あまりキツイものは避けた方が良いでしょうね」
裕太 「この前、俺の車に塗りたくった水アカ落とし剤はどんなんだったろうね?
そういえば、手が少しピリピリしたような感じがした・・・」
光男 「う~ん、全然わからな~い」