◆ホイールクリーニング&コーティング
赤城は両手にビニール手袋をはめ、ホイールの前にしゃがみ込みました。
赤城 「ホイールは結構汚れてますね」
裕太 「ヤツ、160キロくらい出すらしくて・・・」
赤城 「サーキットで、ですか?」
光男 「さー きっと違うでしょう」
赤城はホイールクリーナーをホイールにスプレーして、クロスでホイールを拭き始めました。
光男 「その紫色になるのは、鉄粉ですね」
赤城 「そう、ブレーキディスクから出る鉄粉です。ホイールに付く汚れは、鉄粉だけじゃなく、ブレーキパッドのカスなどもあるんです。
この前、GT-Rのホイールクリーニングをしましたが、パッドのカスが黒く固まっていて、取るのにすごく苦労しました。
この、鉄粉を溶かすタイプのクリーナーじゃ歯が立たないし、酸性のホイールクリーナーでもびくともしないし・・・」
光男 「どう、やったんですか?」
赤城 「プラスチックのヘラの縁を少し立てて、こそぎ落としましたね。
メッキのホイールなら、キズが怖くてできないでしょうけど・・・」
裕太 「メッキのホイールって?」
光男 「銀色にキラキラ光るやつだよ」
赤城 「そう、VIPカーが履いてるタイプですね。キズが付きやすくて、強いケミカルも使えない・・・」
光男 「えっ?ケミカルが使えないんですか?
赤城 「このタイプのクリーナーは使えるけれど、強い酸性のクリーナーなんかを使うと、白濁したりして・・・
1回やっちゃったことがありますが・・・」
光男 「へえ~」
赤城 「それと、前は、棒状のホイール用スポンジを使っていたんですが、柄から伸びているプラスチックがスポンジを突き抜けて、少~しホイールにキズが付いたりしたので、今は、クロスで手磨きしているんです」
裕太 「いろいろ、あるんですね~」
赤城 「いろんな車がありますからね。
ドイツ製のクルマは、時速無制限のアウトバーンでぶっ飛ばすので、止まるためのブレーキも強力で、その分、ブレーキカスもすごいですね。
ポルシェの分厚いホイールの中までクリーニングするのは、腰にも悪いし、時間もかかりますね」
赤城は、ホイールの細かい部分は細いヘラにクロスを巻き付け、クリーニングしています。
4本のホイールクリーニングが終ると、コーティングにかかりました。
光男 「いつもホイールコーティングから始めるんですか?」
赤城 「ボディは磨いてからでないとコーティングできないので、最後にコーティングします。
ホイールは最初にクリーニングして、コーティングしておいた方が、少しでも早くコーティングが硬化して、帰り道でのプレーキカスが硬化中のコーティングに入り込まないように・・・と考えているからなんです」
裕太 「へえ~」
光男 「ホイールコーティングも、脱脂、コーティング、トップコートの順番ですか?」
赤城 「さすが!大沼さん。その通りです。
まず、クリーンアップで脱脂して、ガラスコーティングして、保護のトップコートを塗ります」
裕太 「俺の車の時は、トップコートって無かったよ?」
光男 「いいコーティングには、あるのさ!」
裕太 「う~ん。俺のもココでやってもらわなきゃ、ダメかな」
光男 「ミニバンは高いよ~」
裕太 「うちの親の会社の領収書は使えないしな~」
赤城は、クリーンアップでホイールの脱脂をして、ホイールにガラスコーティングを塗り、トップコートを塗り、水拭き、カラ拭きをして、ホイールコーティングを終えました。
赤城 「今、10時半過ぎですね。
ホイールの汚れが少し多かったので、時間がかかりました。
次は、磨きの準備に入ります」